研究概要 |
1。 ニワトリ胚とジャコウネズミ胚の心臓と大血管に分布する迷走神経の枝の発生について 我々は心臓の動脈門だけでなく、静脈門から入る重要な迷走神経の枝(以下、心臓枝という。)と心臓の神経節の発生を大静脈と肺静脈ならびに心房中隔の発生と関連させて追跡した。その過程において、静脈門側の心臓枝と神経節の発生において新たな知見を得た。 2。 すべての脊椎動物の心臓枝に適用可能な命名の確立 ヒト、ジャコウネズミ、ラットの成体とヒヨコの心臓枝において、発生学の観点から、詳しく肉眼解剖学的に解剖した。これらの動物の心臓枝については平成10年度で、データを得た。 1) ジャコウネズミの成体の心臓枝について 共同の都合から、ジャコウネズミの心臓枝についての所見を第一報として解剖学雑誌(Acta Anatomica Nipponica73,1988)に投稿して、掲載された。同時に、ヒトの心臓枝の混乱している命名を発生学の観点から整理した。これにより、われわれの論文発表の突破口が開けたと思われる。 2) ヒトの心臓に分布する迷走神経心臓枝ならびに交感神経の解明 ヒトの成体の心臓に分布する迷走神経心臓枝の形態を、出来る限り詳しく解剖し、新しいデータを出し、論文を作成し,Journal of Anatomyに投稿中。 3。 その他 (1)ヒトの心臓の心房中隔の中を走る環状動脈の副行路については、Kugel(Amer Heart J,1927)の動脈の存在が知られているが、これと異なる破格が見つかった(論文投稿中)。
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