研究課題/領域番号 |
10670017
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
洲崎 悦子 広島大学, 医学部, 助手 (10274052)
|
研究分担者 |
片岡 勝子 広島大学, 医学部, 教授 (30034002)
|
キーワード | ゴルジ装置 / 微小管 / 直接3D観察法 / レクチン細胞化学 / 三次元構造 / 十二指腸 / 吸収上皮細胞 / 十二指腸腺細胞 |
研究概要 |
私達はこれまで「細胞内小器官レベルでの三次元構造の観察」を特色として研究を進めてきた。そのために、最も簡便な三次元観察法である直接3D観察法を導入して検討を進め、本法が個々の細胞のもつ立体感やその中に存在する小器官の空間的配置を実感できる有用性の高い方法であることを示してきた。今年度は新たにダブルダイクロイックフィルターを装着し、二重染色を行った標本の同時二色三次元観察を可能とした。 この観察法を用いて、十二指腸絨毛の吸収上皮細胞や十二指腸腺細胞のもつゴルジ装置とそれを支える細胞骨格との三次元的配列をとらえることを試みた。そのためにまず、ゴルジ装置と関連の深い細胞骨格として、微小管を染色することを試みた。培養細胞等での微小管染色は既に良好な結果が示されているが、組織を構成している個々の細胞のもつ微小管の染色は困難であった。そのため、1)固定液にTaxolを加え微小管を安定化させる、2)on section collagenase処理を行い染色分子の浸透を高める、3)新しい蛍光物質であるAlexaを染色物質として用いることにより、蛍光退色を防止し観察効率を高める、という新たな改良を試みた。これによって、組織を構成する細胞のもつ微小管の良好な染色が実現した。吸収上皮と十二指腸腺の細胞のもつゴルジ装置を蛍光標識したレクチンで染色し、改良法で微小管を染色するという二重染色を行った標本を観察したところ、微小管によってゴルジ装置が支えられている三次元配列を鮮明にとらえることができた。また、形成された分泌顆粒の輸送に微小管がレールの役目を果たすことも示唆される走行であった。 来年度はこれまでの結果をまとめながら、さらに微小管結合タンパク質や微小管形成センターとの関係について明らかにしていく予定である。また、胃の分泌腺細胞についても観察を進めたいと考えている。
|