研究概要 |
ラット肝臓のEcto-ATPase,Ecto-apyraseの活性を膜分画によって測定し,肝細胞膜画分は高い酵素活性を示す結果を得た.さらにその局在を組織化学的方法によって毛細胆管に局在することを見い出した.さらに酵素活性の出現と肝臓組織の発達との関係について検討した.Ecto-ATPase活性は胎生15日に新生されたばかりの毛細胆管に弱く出現し,胆管の発達に従ってその活性も増加し,生後にその活性が成体と同じレベルに達することを見い出し,胆汁輸送との関係を論じた. 小腸におけるEcto-ATPase活性は微絨毛の表面に存在することを組織化学的に検出してきた.さらに,小腸微絨毛細胞膜画分より生化学的に酵素活性を示す画分を分離精製を行った.その結果,Na-K-ATPase,Alkaline phosphataseとは異なるATPase活性を分子量10,000〜20,000の画分に得ることができた.しかし,まだ単一の蛋白質画分に精製できていない. 小脳におけるEcto-ATPaseの局在を検討し,高い酵素活性をプルキシエ細胞を顆粒細胞に見い出した.これらの細胞のプリン受容体に働くATP,アデノシンの代謝にEcto-ATPaseが重要な働きをしていることを報告した.
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