細胞内小胞輸送に関与する低分子量GTP結合蛋白質、Rabファミリーの内、Golgi装置に局在するRab6の機能を検討するために、Rab6のミュータント遺伝子を作製し、培養細胞に発現させその影響を観察した。ミュータント遺伝子は、一塩基置換によって、GTP結合型(GTPase欠損型)、GDP結合型、及びGDP/GTP低親和性型を作製した。wild型遺伝子とともにこれらの遺伝子にはN側の(5'側)mys-flagを付加した後NRKcellに導入し発現させた。Golgi置換マーカーであるマンノシダーゼII、COP蛋白に対する抗体及び抗myc抗体で遺伝子導入細胞を免疫染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。その結果GTP結合型Rab6を発現させると、Golgi装置の萎縮及び断片化が起きることがわかった。電顕観察の結果、Rab6GTP結合型の発現は、Golgi装置トランス側cisternaの膨化をまず引き起こし、その後Golgi装置の崩壊・小胞化を起こすことが判明した。それとともに小胞体の異常拡張も見い出された。 これらの結果からRab6の正常なGTP/GDPサイクルは、Golgi装置の正常な形態維持に必須であり、RabGTP結合型の発現は小胞輸送のかく乱による小胞体の異常拡張を生じさせると推測される。
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