前年度の研究から低分子量GTP結合蛋白質Rab6の正常なGTP/GDPサイクルは、ゴルジ装置の正常な形態維持に必須であり、GTP結合型Rab6の過剰発現は小胞輸送のかく乱を生じさせ、小胞体の異常拡張を引き起こすことが判明した。Rab6の細胞内動態を研究するために、wild typeのRab6遺伝子にmyc-tagを付加し、これをCOS7培養細胞に導入してmyc-tag Rab6を発現させた。myc-tag Rab6は、抗myc抗体にて免疫染色し、共焦点レーザー顕微鏡にてその細胞内局在を経時的に追跡した。遺伝子導入12時間では、myc-tag Rab6は核近傍ゴルジ装置に集積する傾向があったが、発現が増加するに伴い、24時間後には細胞質全体に分布する斑点状局在を示した。COS7細胞は細胞体より長い突起を伸ばしており、この突起内にもmyc-tag Rab6の集積が認められた。微小管との二重染色によって、myc-tag Rab6は細胞内骨格系に沿って移動する細胞内オルガネラに結合していることが示唆された。
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