研究概要 |
今年度もこの研究の基礎となる胚中心Bリンパ球のRAG1&RAG2発現調節に対して濾胞樹状細胞が修飾作用を有している現象を見つけることに集中された。しかし複数のPrimerやRT-PCRの条件等を試みたが、centrocyteに特異的な発現や、これを修飾する濾胞樹状細胞の作用を言い切るデータは結局でなかった。ところが最近のGFPをreporterとしてRAG遺伝子に組み込んでRAG発現を可視化した実験(Nature,1999)では,RAG-positive細胞は胚中心細胞の性状を保有しないといわれ、胚中心細胞のRAG発現の特異性があらためて問題になってきた。とすれば我々がこれまでCentrocyteにRAGの発現が証明できなかったのはむしろ正しかったことにもなる。一方、正常像を凍結しているリンパ腫のなかにRAG1&RAG2が特異的に発現している症例の検索を続けてきた。こちらはRAG-1がFollicular Iymphomaの全症例とDiffuse large B-cell lymphoma,T-cell or histiocyte-richの全症例に確認されており、RAGがある種の発癌に密接に関わっている新事実を示唆している。以上のように胚中心のRAG発現をめぐっては世界を巻き込んでの論争になっており、我々もさらに来年も研究を継続して確実なデータを発表することに努めたい。
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