研究概要 |
1.肝内門脈-類洞-肝静脈系における血管内皮の機能/形態学的解析 炎症時のリンパ球接着と接着分子発現から,血管内皮の部位差を検索した。コンカナバリンA投与によりT細胞活性化,サイトカイン産生を促したところ,小葉下静脈を中心として,類洞,中心静脈,細い肝静脈に,E-セレクチン,VCAM-1の発現が増強し,同部位において顕著なリンパ球接着・血管外遊走が観察された(Morikawa et al.2000).類洞内皮は他部位の血管内皮と異なる特徴をもつが,この特徴維持に門脈血が関与することを門脈枝結紮肝の免疫組織化学ならびに走査電顕による観察から明らかにした(Yamasaki et al.1999). 2.肝内門脈-類洞-肝静脈系における血管周細胞/平滑筋の機能/形態学的解析 肝内門脈系の解剖学的特徴を明らかにし,エンドセリン-1のかん流による血管周囲平滑筋の収縮の部域差を検索した。門脈前終枝遠位部での収縮が最も顕著であり,この部位が血流調節に主としてあずかるものと考えられた(Ekataksin & Kaneda,1999)。それに対し,類洞周囲星細胞の収縮はわずかであった。ただし,病的条件下で活性化した場合は,収縮により門脈圧亢進に寄与すると考えられ,星細胞の収縮調節(Kawada et al.1999),遊走活性(Ikeda et al.1999),平滑筋ミオシンの発現(Kojima et al.1999)についての検索を行った。
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