研究課題/領域番号 |
10670040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
浦野 哲盟 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (50193967)
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研究分担者 |
井原 勇人 浜松医科大学, 医学部, 助手 (00223298)
高田 明和 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80092980)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 凝固 / 線維素溶解現象 / トロンビン / トロンボモジュリン / PAI-1 / 活性化protein C |
研究概要 |
血液凝固系と、これにより産生された血栓を溶解する線維素溶解(線溶)現象は密接に関連しており、凝固がおこると線溶系は強く活性化される。最近我々は、本機構の一つとして、線溶活性の重要な調節因子であるplasminogen activator inhibitor type-1(PAI-1)を活性化凝固因子が不活性化することにより線溶活性を促進するという新しい考え方を示した。本研究でこの機構の生理的な意味を解析した。 活性化凝固因子であるトロンビンはPAI-1活性を中和するが、内皮細胞上でトロンビン活性を修飾するトロンボモジュリン(TM)の存在下では中和しないことを示した。またトロンビンによるPAI-1活性中和を介した線溶活性の促進は可溶性TMによって抑制されることを精製系で示した。より生理的な系であるeuglobulin clot lysis timeがCa^<++>と燐脂質により短縮する反応も、生成トロンビンによるPAI-1の不活性化によることを示し、更にこの短縮も可溶性TMで解消されることを示した。即ち、トロンビンによるPAI-1の不活性化が凝固に伴う線溶活性の増強機構の一つであるが、正常血管内皮細胞上のTMが存在すると本機構は作動しないことが示唆された。本機構は、血栓形成時に血栓上で活性化された凝固因子がPAI-1を不活性化して線溶活性を増強し過剰な血栓形成を抑制する上で重要であり、正常内皮細胞上に捕捉されたトロンビンでは本機構による線溶活性の発現は発動されないことが示唆された。これらは播種性血管内凝固症候群(DIC)の発生機序にも関与しているものと考えられた。血栓形成からの時間、凝固系活性化の部位等、時間的・空間的に異なる部位で異なる機構で凝固と線溶は密接に関連し、血栓の発育・安定・溶解を制御しているものと考えられた。
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