Pt-Irにニトロ糸被膜を蒸着したNO電極法(Pt-Ir電極法)、Malinski電極法を比較検討してNOに対する特異性と感度を改善した。 NO特性について、Pt-Ir電極法、Malinski電極法ともにNO solutionに対して、投与量依存性の電流増加を検出した。一方、NOの代謝産物(NO^-_2、NO^-_3(10-3M以下))やacetylcholine(ACh)、bradykinin(BK)などの薬剤に対しては反応せず、両電極法とも特異的にNOを検出した 感度は灌流系において10^<-7>M以上のNOを検出可能となった。 Ratの後肢灌流系において灌流圧とNOを特異的に高感度で測定しながら血管平滑筋弛緩のメカニズムを検討した。0.5nmolのAChにより、pcak時に約0.5nmolのNO産生と血管弛緩が認められる。このNO産生をNO合成酵素阻害剤で抑制すると、血管弛緩は約20%程度抑制された。NO合成酵素阻害剤とpotassium channel blockerの両方の存在下では、同量のAChにより血管弛緩は約80%抑制されることが確認された。この結果よりAChによる血管平滑筋弛緩はNOとpotassium channelが関与するメカニズムであることが示された。 一方、25pmolのBKにより、pcak時に約0.2nmolのNO産生と血管弛緩が認められた。この血管弛緩は、NO合成阻害剤、およびpotassium channel blockerのいずれかの存在下で、ほぼ完全に抑制された。NO合成酵素阻害剤とpotassium channel blockerの両方の存在下では、BKによる血管収縮が認められた。このことから、BKによる血管弛緩においてもNOとpotassium channelの関与し、両方がブロックされると BKのもつ収縮作用が顕在化することが示された。
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