研究課題/領域番号 |
10670054
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
三木 俊明 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 医化学研究部門, 研究員 (10239204)
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研究分担者 |
川喜田 正夫 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 医化学研究部門, 研究員 (00012740)
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キーワード | ポリアミン / 輸送体 / 赤血球膜 / 酸化還元酵素 / 水素イオン輸送体 / 再構成小胞 / 拡散電位 / ユビキノン |
研究概要 |
ポリアミン輸送体と、ユビキノール-シトクロムc還元酵素について次の研究成果を得た。 1. ポリアミン輸送系 ウサギ赤血球画分は、スペルミジンを時間、温度依存的に取り込んだ。このスペルミジンの取り込みは、スペルミン添加により70%阻害されたが、プトレッシンによっては阻害されなかった。以上の結果から、ウサギ赤血球には、スペルミン、スペルミジン特異的輸送系が存在すると考えられる。また、赤血球に解糖系の阻害剤を添加するとスペノレミジンの取り込みは低下した。この結果は、より単純な細胞である赤血球の細胞膜にポリアミン輸送系が存在し、このポリアミン輸送系には、ATPが必要であることを示している。赤血球では、細胞質成分を除いた赤血球ゴーストの調製が可能であるが、この赤血球ゴーストを無細胞系として用いてポリアミンの取り込みが進行するか検討した。その結果、内側にATPを含む赤血球膜でポリアミンの取り込みが観察された。 2. ユビキノール-シトクロムc還元酵素(QCR) ウシ心筋より精藪したQCRを、内側にKClを含むリン脂質人工膜小胞に再構成した。このQCR小胞中のシトクロムcをアスコルビン酸で選択的に還元後、バリノマイシン添加によりK^+の拡散電位を膜内外に形成させると、QCRのシトクロムb成分の還元が観察される。QCR小胞を化学修飾試薬であるDCCDで処理すると、QCRのH^+輸送活性と膜電位依存性のシトクロムbの還元は同じように阻害された。この結果は、電子逆流反応がQCRの蛋白質部分を通ったH^+の移動と密接に関係していることを示唆している。さらに、以上の性質が哺乳動物の酵素のみならず、光合成細菌Rhodobactersphaeroides由来の同族酵素にも当てはまる普遍的性質であり、また、酵素分子中に含まれる結合型キノンが重要な機能子を担っていることが明らかとなった。QCRファミリーで得られた電子逆流反応の現象は、拡散電位依存性の水素イオンの地り込みと共役して進行すると考えられ、このモデルはDCCDの阻害効果をうまく説明することができる。
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