研究概要 |
Period遺伝子のアンチセンスオリゴを視交叉上核に投与する実験 per1,Per2のアンチセンスオリゴを慢性的に視交叉上核に植え込んだカニューレを通してラットの視交叉上核に特定に時間に投与した.その結果,単独投与では活動リズムの位相に影響を与えないことが明らかになった.しかし,動物に光を当てて,リズムの位相が変化する効果に対してはアンチセンスオリゴの投与は一定の影響を示すことがわかった.すなわち,光に当てる前,6時間の時点でアンチセンスオリゴを視交叉上核に投与すると光による位相変位の大きさが約半分から3分の1の抑制されることが確認された.この効果はPer1でもPer2でも見られた.さらにPerのアンチセンスオリゴ投与によるそのmRNAの抑制が直接in situ hybridization法によって確かめられた. ラット視交叉上核におけるPer遺伝子発現の時間的,空間的分布について Per1,Per2遺伝子に対するDigoxigeninプローブを作成し,腹外側と背内側の部域差がはっきりしているラットを用いて視交叉上核における発現を解析した.その結果,ラットでは日周変動は主として背内側側で,光応答はほとんど腹外側側で観察されることが明らかにされた.これは,今まで知られていたペプチドの変動パターンと一致しており,視交叉上核の中に存在する二つの部域の機能が,腹外側は光の応答,背内側はリズムの維持というように別の機能を分担しているとする説を支持する結果となった.
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