研究概要 |
課題のテーマを遂行する一環として、視交叉上核(SCN)中のArg-vasopressin(AVP、ペプタイド)とそのmRNAリズムの頂値出現時刻の生後発達過程を調べた。、明暗周期下ではアダルトになるまで各々明期開始時刻に一致していた。この事はAVPペプタイドの頂値出現時刻に先行して17-20時間前に、AVPmRNAの頂値が出現するとするのではなく、ほぼ同時刻に出現する説(LArsen,et al,1994)を支持するものと考えた。これらの事は転写-翻訳過程完了後もペプタイド含量に何らかの調節が働いていると考えざるを得ない。以前、AVPmRNAのpolyA tailの長いほうが安定性がよく効率良くリボソーム上でペプタイド合成が行われるとの説があった、しかし翻訳の速度はかなり早く、20-60秒で完成することが常識となりつつある。この事を確かめるのはNorthern-blottingでわかるはずであるが、無細胞(核の無い条件)でペプタイド合成を行ってみたいと今は考えている。 SCN内でのAVP含有ニューロンの活動性を出力系の要素としてSCN内在の伝達物質やGABAによるAVP放出の面を特に視床下部-下垂体-副腎系と活動のリズムリズム関連とから調べ報告した。AVPリズム発現の源となるAVP遺伝子から転写-翻訳過程をへる合成系の解明をめざし、視索上核(AVP産生をするが主に浸透圧調節に関連し時計機構には関連性は不明)中でのAVP遺伝子との差異をみたところ5`上流のプロモーター領域に異なる配列のある可能性を見い出された。現在、この事の確認と意義について検討中である。
|