研究概要 |
1.香り提示による自律神経の変化: ヒトで香り提示が自律機能に変化を与えることより動物でこの変化を捕らえるべく実験を行った。テレメータシステムによる体温・血圧・心電図の持続的記録により香り物質提示前後の変動を検討した。香り提示のみの場合提示直後に心拍数の上昇がみられるが香り物質の無臭の溶剤を提示しても同様の変動をしめし、提示の方法に問題のあることが考えられた。緊縛ストレスと香り提示の組み合わせにより、血圧・体温・心拍数の上昇が香り提示により抑えられる傾向を認めた。外部誘導した心電図よりCVrrの測定をしたところ香り物質提示後CVrrの低下を認めたが、この変化は香り物質提示の操作によるものと考えられ特異的な変化では無いと思われるので一層の検討が必要である。 2.ストレス負荷による脳内アミン変動に対する香りの影響: 体性ストレスにより前部視床下部、扁桃核のアミン代謝産物(DOPAC,HMPG,5HIAA)の上昇が認められるが、香り物質提示により上昇が抑制されたことを昨年度確認した。さらに室傍核周辺でも同様の変化を認めた。嗅球後部の外科的切断の影響については同一ラットで試みているがまだ成功していない。 3.ストレス負荷による視床下部室傍核内Fos様蛋白発現に及ぼす香り提示の影響: ストレス負荷により室傍核内Fos様蛋白は顕著に発言した。ストレス負荷前より香りの提示を行うとこの発現は有意に抑制された。一方視索上核では香り提示によってもFos様蛋白増加は抑えられず、室傍核特異な変化でCRHの関与を推察させた。
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