研究概要 |
1昨年に開始した屠殺直後のブタから心臓ペースメーカー細胞を単離する技術については,使用する酵素の質・量について試行錯誤を重ねた結果,比較的コンスタントにliving cellsが得られるようになった.今年度は,過分極誘発陽イオン電流についての解析をおこない,本チャネルがチロシンキナーゼにより調節されている可能性について,電気生理学的に解析した.その結果,これまで報告されているウサギ標本とは異なり,ブタにおいてはチロシンキナーゼの関与は否定的であった.この結果は現在論文投稿中である.また,ブタ心臓ペースメーカー細胞の遅延整流K電流について,ブタにおいては,緩徐活性型電流が主成分であることを見出し,現在論文投稿中である.さらに,申請者らがウサギ標本において見出した持続性の内向き電流について,ブタ標本で,その存在の有無を検討したところ,ブタにおいても自発活動を有する細胞では,ペースメーカー電位付近で内向き電流が発生することを見出した.このことは,持続性内向き電流が細胞の自動性に必須であるという考えを支持するものであり,ほ乳類共通のペースメーカー機転の存在示唆する.今後,心拍数の種差について,この持続性内向き電流の電流密度を主たるターゲットとして解析していきたい.
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