研究概要 |
微細形質膜を人工脂質膜に再構成して、受容体/G蛋白質/チャネル蛋白の機能を電気生理学的に測定する方法について詳細な予備的検討を行った。材料としてモルモット回腸縦走筋を用い、以下の条件が安定した測定に必要であることが明らかになった。 1. crudeな形質膜分画を用いて蔗糖密度勾配中で遠心する場合、25/30%の蔗糖勾配面から最も高い分画が得られる。 2. 1の分画を人工膜中に再構成すると形質膜に多く局在していることが判明している1argeconductance,Ca^<2+>dependentK^+channel活性が高頻度で検出できる。 3. 2の測定を安定して行うためには形質膜分画作成時にbuffer中のK濃度をあげ(600mM)内因性の脂質をできるだけ除去することが重要であり、また人工膜の脂質組成はPE:PC:PS=12.5:7.5:5.0がほぼ適正である。 4. 3で決定した条件下で細胞質側にGTPあるいはGTPγS(100μM)を投与するとコンダクタンス数+pSの陽イオンチャネルの活性化が観察される。 以上の結果から、上記の条件で分離した微細形質膜中には本研究の目的としている受容体作動性陽イオンチャネル複合体(すなわち受容体、G蛋白質、チャネル蛋白質)が温存されており、従ってこの実験システムを用いることによって次の段階であるG蛋白質による活性化の分子機序の解明などが十分可能であることが示唆された。 以上の成果は、現在進行中の陽イオンチャネルのCa^<2+>感受性発現機構に関する結果と併せて近日中に発表する予定である。
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