Kは、遠位尿細管から皮質部集合管にかけて管腔内の流速に依存して分泌されため、利尿薬による尿量の増加でKの排泄が増加し、低K血症に陥ることがある。皮膚部集合管管腔側膜にはROMK1チャネル(Kir1.1)が存在し、K分泌の経路であると主張されてきたが、このチャネルではK分泌の流速依存性を説明できない。昨年度の本研究では、接合尿細管の管腔側膜に存在するマキシKチャネルが、管腔側膜に存在する膜張力依存性陽イオンチャネルと共役して、見かけ上、膜の伸展によって活性化されること、マキシKチャネルはキャリブドトキシンで、Kir1.1はアラキドン酸で阻害されることを報告した。管腔側膜Kコンダクタンスの変化は、接合尿細管を単離灌流して管腔内電位(Vt)を記録し、管腔内液のK濃度を5mEq/1から15mEq/1に上げたときのVtの変化(ΔVt)から推定した。低速灌流時にはΔVtはほとんど0であったが(ΔVt=-0.7±0.4mV)、高速灌流時にはΔVtは-9.4±0.9mVと著明に増加し、流速によって管腔側膜Kコンダクタンスが増加することが分かった。このKコンダクタンスは、Kir1.1を阻害するアラキドン酸では全く影響されず、マキシKチャネルの選択的ブロッカーであるキャリブドトキシンで完全に阻害され、流速依存性のK分泌が、膜張力依存性の陽イオンチャネルとマキシKチャネルの共役によって起こることが明らかになった。
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