研究課題/領域番号 |
10670104
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
中田 裕康 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00041830)
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研究分担者 |
吉岡 和晃 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員
斉藤 修 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60241262)
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キーワード | アデノシン / プリナージック / 細胞内情報伝達機構 / ヘテロダイマー / クロストーク / ATP受容体 / P3受容体 / NECA |
研究概要 |
我々は1996年にアデノシンのみならずATPにも感受性のアデノシン受容体様タンパク(P3LP)をラット脳細胞膜に見出した。この受容体様タンパクと以前から想定されているハイブリッド型プリン受容体(P3受容体)の関係を明らかにしようと研究を進めた。 ラット脳膜画分に存在するP3受容体様タンパクに特異的に結合するリガンドの開発はこのタンパクの機能を調べる上で重要である。そのひとつとしてHAK2701を昨年開発したが、合成法の難しさや特異性などの点でやや難がある。そこで合成が比較的容易で強力なリガンドの開発を試みた。P3受容体様タンパクに非特異的に結合するリガンドである5'-N-ethylcarboxamidoadenosineの5'-N置換基の誘導体を合成して構造と活性の相関を検討したところ、n-pentyl誘導体とcyclohexyl誘導体が特異的に最も強い活性を示した。これらの特異的リガンドの生理的作用を検討したところ、ウサギ耳動脈交感神経終末部のP3受容体系を活性化することが確認され、P3受容体アゴニストとしても働くことが明らかになった。このことは、P3LPは少なくともP3受容体のサブタイプであることを示唆している。一方、これまでの薬理学的解析からP3LPの特異性がアデノシンA1受容体とATP(P2Y_1タイプ)受容体の両特性を併せ持つことがわかったので、両者を培養細胞に共発現させたところ、アデノシンA1受容体とP2Y_1のヘテロ二量体形成が生ずることがわかった。この細胞においてはP3LPと類似のリガンド特異性を示すようになったばかりでなく、P2Y_1受容体のアゴニストによりA1受容体活性が活性化されるという細胞機能的ハイブリッド現象が生じた。これはアデノシン受容体とATP受容体の直接的なヘテロマーによりP3LPもしくはP3受容体が発現している可能性を示唆する。
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