研究概要 |
ヒト成人肝においてAFP遺伝子は抑制的な発現調節を受けていると考えられている。われわれはこれまでこの抑制的発現調節に厳密に関係している31-bpコア配列を含む110-bpサイレンサー領域をヒトAFP遺伝子の上流に同定した。成人正常肝やAFP低発現型の肝ガン細胞株にはこの配列に結合する転写調節因子が多く産生され、AFPの成人肝における抑制的発現調節に密接に関与していると考えられた。 ヒト成人肝由来cDNAとファージλ-gt11を用いて発現ライブラリーを作成し、サウス-ウエスタン法によりこのサイレンサー領域に結合能を持つと思われる4種類のcDNAクロ―ンを単離して、プラスミドべクターpGEM-7Zにサブクロ―ンした。これらの部分塩基配列を決定し、得られた配列のホモロジー検索をGenBankDNAデータベースに対して行ったところ、そのうちの3種類(pSL-4(insert size:〜3.3kb),pSL-7(〜1.5kb),pSL-9(〜1.3kb))がヒトDNA-binding proteinB(dbpB)あるいはY box binding protein-1(YB-1)遺伝子と94-95%の相同性を有していた。さらにpSL-20(〜0.9kb)はヒトprolactin regulatory element-binding proteinと100%の相同性を示した。これらのタンパクの性質については詳しくはわかっておらず、AFPの転写調節機能についての解析が待たれる。これらについて検討を重ねているところである。
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