研究概要 |
(1) ヒトGM3合成酵素遺伝子染色体DNAのクローニングとその構造解析 ヒト染色体DNABACライブラリーから約180kbのインサートを含むクローンを取得し構造解析を行った。ヒトGM3合成酵素遺伝子は、約60kbの大きさを持ち、最低7つのエクソンから構成されていることが判明した。これまで約60%に相当する領域の塩基配列を決定した。また、FISH法により、本遺伝子はヒト染色体の2p11.2に位置することが明らかになった。これまでこの付近には、既知遺伝病関連遺伝子は報告されていない。また、プロモーター領域の構造解析の結果、AP-2,AP-4,SP-1TCF11などが、転写調節に関与する可能性を示した。 (2) 多種脊椎動物由来の相同遺伝子のクローニング マウス・ラット及びサルから相同遺伝子をクローニングし構造を比較したところ、GM3合成酵素は他のシアル酸転移酵素に比べ種間の置換率が高く、脊椎動物の出現以降比較的古い時代に獲得した遺伝子であることが想像された。また、ヒトGM3合成酵素に特異的に見い出されたシアリルモチーフL中のアスパラギン酸からヒスチジンへのアミノ酸置換は、これらの動物種由来GM3合成酵素でも共通して見られた。 (3) GM3合成酵素遺伝子ターゲティイングマウス作製の為の遺伝子改変 マウスゲノミックライブラリーより、マウスGM3合成酵素遺伝子染色体DNAを単離し構造解析を行ったところ、ヒトのそれとほぼ同様のエクソン・イントロン構造を示した。そこで、シアル酸転移酵素群に共通に見られるシアリルモチーフを含むエクソンを欠失したコンストラクトを構築し、現在GM3合成酵素ノックアウトマウスを作製している。
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