研究概要 |
反復配列(GGA:TCC)n含むDNA断片が、ヌクレオソームのレベルで三本鎖構造やDNA-DNA複合体を形成するかを調べるため、実験系に用いるモノヌクレオソームの再構成とその性質について検討した。 反復配列(GGA:TCC)_<11>をDNA断片の種々な位置に含む230-163bPの^<32>P標識DNA断片を高塩濃度下でヒストンコア(H2A,H2B,H3,H4)と混和し、透析法で塩濃度を徐々に下げることによりモノヌクレオソームの再構成を行った。ヌクレオソームの形成の有無については、ゲル移動度シフト法とマイクロコッ力ルヌクレアーゼ(MNase)消化による146bpのヌクレオソームDNAコアの出現を指標とした。その結果、反復配列が中央に位置する163bpDNAはヌクレオソームの形成能が殆ど無く、反復配列が中央からずれた時にはヌクレオソーム形成が認められた。一方、既に強いヌクレオソーム形成能があることが報告されている反復配列(CAG:CTG)_<11>では、反復配列が中央に位置する163bpDNAでも効率よいモノヌクレオソーム形成がみられた。 モノヌクレオソーム形成がみられる230-163bpDNAのヌクレオソームのポジショニングをMNase処理で生じた146bPのコアDNAを精製し制限酵素切断により調べたところ、230bpDNAではモノヌクレオソームのポジショニングが6ヶ所にみられ、193-163bpDNAでは両末端を含む2ヶ所にポジショニングし、反復配列(GGA:TCC)n含むDNA断片のポジショニングは特定の場所には位置しないことが分かった。 反復配列(GGA:TCC)_<11>から成るヌクレオソームは50℃(60分間)の加温まで熱安定性があるが、Mg^<2+>(2mM) (Ca^<2+>は16mMまで比較的安定)やNaCl(100mM)、KCl(200mM)の存在下では不安定であった。また、非ヒストン蛋白質HMGlボックス蛋白質の存在下でも、ヌクレオソームへの結合性はあるものの、その安定性には変化がみられなかった。 モノヌクレオソームを形成する反復配列DNAが三本鎖構造やDNA-DNA複合体を形成することができるという前段階的な結果を得たが、これらの結果を更に詳細に検討する必要が残されている。
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