反復配列(GGA/TCC)nを含む裸のDNA断片が、DNA-DNA複合体を形成することを見いだした。そこで先ず始めに、この現象がクロマチンレベルでも生じるか否かを再構成クロマチンおよびゲノム中の(GGA/TCC)nを用いて、DNA-DNA複合体形成の有無や配列特異性について解析した。更にゲノム中での局在性を調べることから、反復配列の構造と機能に関する検討を行った。そこから、以下の結果を得た。 1.反復配列(GGA/TCC)nを含むDNA断片をtriplex affinity capture法により濃縮し、マウスゲノム中から19個のクローンを単離した。 2.19個のクローンをゲノム上にマッピングした結果、13個の染色体上にマップされた。 3.我々が開発した核クロマチンをヘテロクロマチン(He)とユウクロマチン(Eu)へ分画化する方法を利用し、分離した反復配列(GGA/TCC)nを含むDNA断片のHe/Euへの分を定量PCR法により調べた。約半数(9/19)はHe分画に多く分布し、残りはHeとEu両分画に同程度分布し、調べたものの中にはEu分画に多く分布するものはなかった。 4.クローン化した各々のDNAを用いてDNA-DNA複合体が形成するか否かをゲル移動度シフトアッセイ法およびDNaseI保護マッピング法により調べた。標識したDNAは同種の非標識DNAと特異的にDNA-DNA複合体が形成され、その複合体形成は配列特異性を示した。 5.上記4項の配列依存性に関し、構築した種々のプラスミドDNA(GGAリピートの回数を変えたものやGGAリピート近傍の配列を変えたもの等)を用いた再構成ヌクレオソームの解析から、DNA-DNA複合体形成はGGAリピートの反復回数に依存し、GGAリピート近傍の配列依存性もあることが確認された。
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