研究課題/領域番号 |
10670128
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
安川 秀雄 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (60289361)
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研究分担者 |
大坪 素秋 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (10211799)
吉村 昭彦 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (90182815)
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キーワード | チロシンキナーゼ / JAK / STAT / CIS / ノックアウトマウス / サイトカイン / チロシンりん酸化 / キナーゼ抑制因子 |
研究概要 |
サイトカインは受容体の細胞内ドメインに会合するJAKチロシンキナーゼを介して細胞内にシグナルを伝える。STATはそのシグナルを核へ伝える重要な転写因子のひとつである。われわれはSTAT5の負のフィードバック調節因子であるCIS1、JAKキナーゼの阻害因子であるJABをクローニング、さらにこれらを含むCISファミリーの存在を明かにした。すでに培養細胞を用いて、CISは受容体に結合することでSTAT5を抑制し、JABおよびCIS3は直接JAKのチロシンキナーゼドメインに会合しその活性を抑制することを明らかにしてきた。 本研究においてはJABおよびCIS3のJAKシグナル抑制の分子機構を明らかにするために欠失変異や両者で保存されているアミノ酸に様々な点変異を導入し構造活性相関を行った。その結果CIS3のSH2ドメインは、JAK2のactivation loopに存在するY1007にSH2ドメインを介して結合することを発見した。しかしJAK活性化抑制にはSH2ドメインだけでは不十分で近接したアミノ酸約12個の部分が必須であり、この部分はJAB、CIS3でよく保存されている。この領域をキナーゼ阻害領域と名付けた。またこのN末端部分がないとJAKへの結合力が極端に落ちることからJAB、CIS3はSH2ドメインでactivation loopと、さらにN末端部分でJAKの活性中心に結合していると考えられる。次にCIS3の生理機能を明かにするためにCIS3ノックアウトマウスを作成した。ノックアウトマウスは胎生致死であり、受精後12日以前は野生型と大きな形態の差はないが12.5-15日胚では全身での出血が見られた。また特に肝臓では構造が崩れており有核の胎児型赤血球で充満していた。胎児肝細胞をEPO存在下で培養すると野生型マウスにくらべてはるかに大きなBFU-E(前期赤芽球前駆細胞)コロニーが形成された。また赤芽球前駆細胞においてCIS3とJAK2の会合が確かめられた。したがってCIS3は胎児造血幹細胞においてEPO/JAK2シグナルを負に調節する因子であることが示された。
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