研究概要 |
(目的)酸化ストレスによる炎症、虚血再かん流障害、環境化学物質による癌、アレルギーなどの機構を解析するため、酸化ストレスシグナルの分子機構を明らかにすることを目的に研究を行った。 (成果)1、アポトーシスシグナル分子機構の解析:フラボノイド化合物バイカリンによるアポトーシスを誘導にはミトコンドリアからのcytochrome cの放出と細胞内還元環境の調節が重要である事を明らかにした(投稿準備中)。発がん物質であり環境汚染物質メチルコラントレン(MC)によりp53の活性化が起こり、アポトーシスおよび細胞周期停止を誘導することを明らかにした(投稿準備中)。p53依存性のp21の活性化がTRXおよびRedox factor-1(Ref-1)により調節されることを明らかにした(Ueno他)。また、HIV感染においてBcl-2とTRXによる発現調節がアポトーシス制御に重要であり実際にBcl-2とTRXの発現の変動がviral loadと相関することを明らかにした(Elbim他、Israel博士との共同研究)。 2、生体防御シグナル分子機構の解析:抗酸化物質thioredoxin(TRX)は酸化ストレスにより転写レベルで誘導される。TRXプロモーター上に鉄ヘム化合物ヘミンやtert-hydrobutylquinone(tBHQ)に対する反応を伝えるhemin responsive elementを同定し(1999年癌学会にて発表)、その配列はantioxidant responsive element(ARE)を含み、NF-E2p45とNrf2がその配列に結合し活性化に重要であることを明らかにした(投稿準備中)。またダイオキシン類(MC,betanaphthoflavone(BNF))によるTRXの転写活性化にxenobiotic responsive element(XRE)様配列、SP-1結合配列を含む30塩基が必要な知見を得た(1999年癌学会にて発表)。TRXのプロモーター上の酸化ストレス反応配列(ORE)の結合蛋白についてyeast one hybrid法にてscreeningを行っている。さらにTRX結合蛋白を同定した(Nishiyama他)。
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