研究概要 |
エクト型ホスホジエステラーゼ/ヌクレオチド・ピロホスファターゼは細胞外のATPを分解してアデノシンとピロリン酸に変換する酵素であり、3つの分子(PC-1、PD-Iα/autotaxin、PD-Iβ/gp130^<RB14-6>/B10)からなるファミリーを形成している。本年度、ベルギーで開催された国際エクトATPaseワークショップにおいて、これらの分子をそれぞれE-NPP1,-2,-3と呼ぶ事を決定した(Zimmermann H,Beaudoin AR,Bollen M,Goding JW,Guidotti G,Kirley TL,Robson SC,and Sano K(1999):Proposed nomenclature for two novel nucleotide hydrolysing enzyme families expressed on the cell surface.In:Ecto-ATPases and Related Ectonucleotidases.L Vanduffel,R Lemmens,eds.Shaker Publishing B.V.,pp1-8)。E-NPP1に変異を持つマウスはヒトの後縦靭帯骨化症と同様の異所性の骨化を呈する事から、この分子は骨代謝の抑制性の制御において重要な役割を果たしていると考えられる。しかしE-NPP2および-3の骨代謝における役割は不明である。そこで、本年度はE-NPP1と-3の軟骨細胞における局在と酵素活性について検討を行った。その結果、E-NPP1と-3は共に軟骨細胞の細胞外ピロリン酸濃度を上昇させるが、細胞内ピロリン酸濃度を上昇させるのはE-NPP3のみであった。また、免疫染色の結果、E-NPP3は細胞形質膜だけではなく、ゴルジ体にも存在していた。未分化軟骨細胞の分化に伴って、E-NPP1と-3の発現が増加した。これらの結果により、E-NPP1のみならずE-NPP3も骨代謝に関与している可能性が示唆された。
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