研究概要 |
1.最近、遅発性幼児型Batten 病(Late infantile neuronal ceroid lipofuscinosis、以下LINCL)の原因遺伝子産物として同定されたClu2pの本体がTripeptidyl aminopeptidase(TPP-I)であることが明らかとなった。このことを受けて、LINCL患者およびコントロール細胞におけるTPP-I活性を比較したところ、患者の細胞においてはTPP-I活性が特異的に欠損していた。 2.Cln2pはendopeptidase活性を持つことが予想されていたことから、この活性に対する特異的な基質およびtripeptidyl aminopeptidase活性に対する基質を用いて、ラット脾臓より精製したTPP-Iの性質についての検討を行った。その結果、この酵素はpH3.0に示適pHを示すendopeptidase活性とpH4.5に示適pHを示すtripeptidyl aminopeptidase活性を共に持つことが判明した。これらの活性はAla-Ala-Phe-CH_2Clにより阻害されたが、pepstatinやtyrostatinによる阻害は受けなかった。 3.培養細胞の培地中TPP-Iの阻害剤であるAla-Ala-Phe-CH_2Clを長期間添加すると、F_0F_1-ATP合成酵素のサブユニットcがリソソーム画分に蓄積することが見出された。 4.ミトコンドリア-リソソーム画分をin vitroの系(pH5,37℃)でインキュベーションすると、ミトコンドリアF_0F_1-ATP合成酵素のサブユニットcの分解が認められるが、この系にAla-Ala-Phe-CH_2Clを添加するとサブユニットcの分解が阻害された。
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