平成10年度は以下のことを明らかにし、発表した。 (1)プロカテプシンLは試験管内でのプロセシングと同様に培養細胞や肝細胞内でも多段階をへてプロセシングされ、成熟型酵素になる。 (2) プロカテプシンはいずれもシステインプロテアーゼ阻害剤E-64によりそのプロセシングが阻害されることからパパイン型システインプロテアーゼで成熟型酵素に変換される。 (3) プロカテプシンBおよびDはリソソームに到達する前に成熟型酵素に変換されるのに対してプロカテプシンLはリソソームに到達後成熟型酵素に変換される。 更に、現在、精製リソソーム膜上でのプロカテプシンLのプロセシングを検討中であるが、そのプロセシングにはリソソーム膜タンパク質の糖鎖は必要ないことが判明したので現在、リソソーム膜の構成脂質であるリゾビスホスファチジン酸(LBPA)とプロカテプシンLのプロセシングとの関係を精製LBPAおよび抗LBPA抗体を用いて検討中である。また、活性型および不活性型Rabタンパク質を細胞に発現させることによるカテプシン類のプロセシングの変化についても現在、検討中である。
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