研究概要 |
現在までに我々の基礎実験にて用い、薬剤感受性のある事が遺伝子導入実験で証明されているショウジョウバエ、またはヒトの薬剤感受性トポイソメラーゼII遺伝子をアデノウイルスベクターに組み込む事を計画した。ヒト・トポイソメラーゼIIの塩基配列はその5'末端にコザック配列を有していないため、我々のin vitroの実験ではデキサメサゾンの投与により遺伝子の過剰発現を認めてはいたがよりin vivoの実験系において強い発現をめざすためにPCRによってコザック配列を含んだ5'末端の部分と作成し、この5'末端の遺伝子とCla I,EcoO1091で切断した3'末端の遺伝子断片、さらにE1,E2を除去したアデノウイルス・シャトルベクター(pAvCvSv)の3つを結合する事によりヒト・トポイソメラーゼ(監)遺伝子を含んだアデノウイルスシャトルベクターを作成した。このシャトルベクターとCla I,Xba Iで切断したβ-ガラクトシダーゼをふくんだrecombinantadenovirusのDNAを293細胞にcalcium phosphateによりco-transfectionしhomolougousrecombinationをおこさせ、目的のアデノウイルスを作成した。このウイルスに目的の遺伝子が含まれているか、また癌細胞内で発現するかどうかをみるために1)Sst IでウイルスDNAを消化して挿入遺伝子が含まれているかを確認し、2)サザーンブロット法によりウイルスのDNAにヒト・トポイソメラーゼII遺伝子が入っているかを調べ、3)さらに薬剤耐性ヒト乳ガン細胞であるMDA-VP細胞にウイルスを投与し、トポソメラーゼIImRNAの過剰発現が認められるかを調べた。以上の結果により20の候補ウイルスから目的の遺伝子が全長にわたり発現していると考えられるウイルスを選択した。現在このウイルスのDNAの塩基配列を決定しているところである。
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