(1) ホジキン細胞と樹状細胞(DC)の関連性についての検討:これまでにホジキン病患者胸水より分離・樹立されたリンパ芽球様細胞株HPL-Hod-2についてその細胞学性質の検索を進めた。Hod-2細胞が免疫グロブリンγ鎖・κ鎖を細胞膜表面には発現せず、胞体内に保留していることを確認してきた。他方、最近T細胞への抗原提示を専らにするDCの解析が進み、DCの分化系列には少なくとも2種類の系の存在が示され、DCは表面抗原としてCD83分子を発現していることが見出された。Hod-2細胞においても中等度のCD83の発現はホルボールエステルやカルシウムイオノホア刺激により増強され、継代後の培養経過によっても増強されるなどの実験結果から細胞機能と結びついた分子であることが考えられた。Hod-2細胞におけるCD83分子発現は、この他の細胞接着因子、刺激補助因子の発現などと合わせて、ホジキン細胞のDC由来を示唆する結果であった。 (2) DCの免疫グロブリン産生能の検討:Hod-2細胞の1つの特徴は免疫グロブリンを産生することにあった。DC由来細胞については骨髄芽細胞や顆粒球系幼若細胞などが候補とされているが、Bリンパ球系列細胞よりの分化の可能性を検討した。 これまでのヒト白血病・悪性リンパ腫細胞の培養経験から成人T細胞白血病(ATL)患者末梢血白血球培養により、効率良くDCが増殖してくることが判明し、現在ATL末梢リンパ組織や末梢血由来のDCと考えられる細胞株5株が樹立された。うち1株、sota細胞はCD83を発現していたが免疫グロブリンの産生は認められなかった。残り4株は弱いながらもCD83の発現が見られ、免疫グロブリンが強く産生されていた。いずれもH鎖・L鎖が備わり、胞体内分布が主であった。
|