研究概要 |
リンパ球の皮膚ホーミングレセプターとしてcutaneous lymphocyte antigen(CLA)が知られている。本研究では非T細胞でのCLA発現とその機能を検討した。B細胞においてはIg G,A,E陽性細胞での発現がIgD,M陽性細胞のそれに比べて明らかに陽性率が高く、また、高発現する細胞も多い傾向が認められた。前者の細胞群は一般に抗原に対してすでに暴露されたmemory細胞の段階にあると考えられ、従って、B細胞においてはそのような細胞が選択的にCLAを発現することを見いだした。これはCLAに関する初の知見である。次ぎにこのような発現をしているCLAが実際に機能しているかどうかを検索した。 形質のはっきりした細胞株を使用し、E-selectinのtransfectantに対する接着性を検討したところ、B細胞株においても確かにE-selectinとの接着をすることが確かめられた。各種病変におけるどのようなB細胞で発現しているかの検討を免疫組織学的に行ったところ、リンパ節炎でのmonocytoid B cellsにかなり選択的に陽性所見が認められた。 monocytoid B cellsはmemory B cellの分化段階にあるとされており、それと対応した結果であった.E-selectinは一般に慢性皮膚疾患の血管で発現していることが知られているが、同部ではB細胞は比較的少数である。この疑問を追究するために反応性リンパ節炎の材料で検索したところE-selectinを一部のHEVと考えられる血管内皮に認めた。T細胞B細胞の各臓器のE-selectin接着性に対する選択的については今後に残った問題であるがB細胞での発現性については成果をCellular Immunol.197,39-45に報告した。
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