研究課題/領域番号 |
10670168
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 利光 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80018952)
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研究分担者 |
星 暢夫 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70274959)
渡辺 一男 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (80167105)
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キーワード | 脂肪酸合成酵素 / ヒト乳癌 / ホルモンレセプター / ヒト膀胱癌 / ヒト胃癌 / ヒト肝癌 / ヒト胃癌株 / ヒト結腸癌株 |
研究概要 |
1. 各種ヒトがんについて脂肪酸合成酵素の発現と臨床病理学的因子との相関性について調べた。 1) 乳癌(n=243)では6割の症例が高発現、4割の症例が低発現であった。 2) 多変量解析により、エストロゲン・プロゲステロンレセプター陽性とFAS高発現が相関していた。エストロゲンレセプター陽性乳癌でFAS高発現例は有意に再発し易いことが分かった。 3) 膀胱癌(n=59)ではFAS高発現群は低発現に比べ有意に生存率が低い。また、Ki-67抗原とFAS高発現群はKi-67抗原とFAS低発現群に比べ有意に生存率が低い。(p<0.009) 4) 胃癌(n=200)では60%にFASの発現が認められ、分化度の高い例にFASの出現が有意に高率であった。 5) 肝癌(n=47)では80%に陽性であったが予後との相関は認められなかった。 6) 肺癌・脳腫瘍については検討中。 2. ヒト胃癌株におけるFAS蛋白の発現 MKN1、MKN7、MKN28、MKN45、MKN74、TSG、KATOIII、TAKIGAWAについてウエスタンブロッティングによるFAS蛋白の発現を調べた。MKN1以外はいずれもFAS蛋白を産生していた。 3. 結腸癌株C-1のFAS特異的阻害剤による増殖抑制 C-1株はFASを産生しているがここの細胞をセルレニン(10μg/ml)で処理すると安全に増殖が抑制される。細胞死のメカニズムとして形態学的にアポトーシスも一部に観察される。しかし、細胞内ATP濃度の急激な低下が細胞死と関連するのではないかという予備的な知見が得られた。
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