アルカリフォスファターゼ(以下ALP)はヒトでは小腸、胎盤、肝臓、骨、腎臓などに分布している。Bリンパ球でも分化の一時期に発現し、末梢リンパ組織に形成されるリンパ濾胞のマージナル層リンパ球にみられることが知られている。しかし、その機能についてはよく知られていない。マウスでのリンパ球のALP機能を検討した報告はわずかにあるものの、ヒトでは検討がなされていない。我々はまず抗ヒトリンパ球ALP抗体の作成を試み、またALP発現リンパ腫細胞株からのALPタンパクの精製を行った。 ALPタンパクの精製は、大量培養されたALP発現細胞からCell Lysateを作成し、液体クロマトグラフィーで精製を行った。最初にイオン交換、ついでゲル濾過、最後にハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーの順に精製した。他のHeparin、ConA、Peanut Lectin、Lentil Lectin、Wheat Germ Lectinのアフィニティー担体も用いたが、いずれもALPタンパクとの親和性がみられず、これらは使用しなかった。精製は2回行い、約390mgのタンパクが得られた。これはマウスの免疫や各assayに用いることにした。 抗ALP抗体の作成のためマウスを1)ALP発現細胞、2)精製ALPタンパク、3)Cyclophosphamideを用いた免疫寛容法により免疫し、抗体作成を試みた。計946個のHybridomaをスクリーニングし、5個のクローンが抗ALP抗体を産生している可能性があることが判明した。 本研究ではALPタンパクの精製法を確立した。ALP機能の解明には単一のALPタンパクの精製が必要である。そのためには抗ALP抗体の作成が最も重要であり、抗ALP抗体作成は継続中である。
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