研究概要 |
正常ないし、生理的な状態の間質組織では、神経細網細胞複合体構造の存在を、ヒト精巣精細管間の間質細胞と、ヒト胆嚢粘膜固有層間質細胞間につき検討した。所々に、神経終末の分布や、zonula adherence様の、primitiveな、細胞接着は認められたが、真の意味の神経細網細胞複合体の構造は認められなかった。 東京逓信病院病理科の伊藤らと、各種virus genome(cytomegalovirus,EB virus,human papilloma virus)を、用いた、光顕レベルの、in situ hybridizationの、手技の確立を行なった。 病理組織間質に於ては、英国マンチエスター市パターソン癌研究所のEydenと、悪性腫瘍と、giant cell fibroblastomaの、間質組織中に分布する、primitiveな、基底模様の構造の不定形基質物質の解析と、その構成タンパク(ラミニン、typeIV collagen,fibronectin)の、分布を明らかにした。腫瘍組織の間質には、神経細網細胞複合体構造の依存は、保存されていなかった。 慶大医眼科、小川葉子との、共同研究で、骨髄移植患者に出現する、chronicGVHDドライアイ涙腺間質中では、CD34 postive fibroblastが、急速に進行する、涙腺組織の線維化に於て、重要な役割を果たしていることを、明らかにした。 以上の研究を通じて、間質組織内の基本的な構成要素である、fibroblastの性格づけや、神経細網細胞複合体の分布、ギャップ結合、神経終末の分布、CD34 postive reticular cell networkの構造の各臓器内及び病的組織内での、分布、差異が一層分明になり、実質細胞に比べ、注目を浴びることが少なかった、間質組織の包括的な理解、解析ができた。
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