尿細管細胞障害におけるアポトーシス誘導性FasL/Fas機構とその抑制機序解明のためICEプロテアーゼの発現性、特にcaspase-3と8の活性化を上記の実験系で解析した。方法としては細胞抽出中のCaspase-3と8の活性を蛍光基質を用いて測定するFluoro-metric protease assay kit(MBL)を用いた。またCaspase-3阻害剤としてはAc-DEVD-CHO(ペプチド研)を用いた。その結果、INF-γ刺激下RPTEC2601細胞に抗Fas抗体を投与しアポトーシス誘導した際、caspase-8と3の活性が抗体投与後3時間目から上昇し5時間目でピークを示した。このcaspase-3の活性特異性を確認するためcaspase-3阻害剤DEVD-CHOを投与実験を行った。その結果DEVD-CHO25μMから抑制効果が生じ100μMにてcaspase-3の活性が完全に抑制された。したがってRPTEC2601細胞のアポトーシス誘導性FasL/Fas機構にはcaspase-3の活性化が重要であることが証明された。この結果は実際の移植腎・拒絶反応のアポトーシス発現にcaspase-3活性化の重要性を示し、caspase-3阻害剤によるアポトーシス発現抑制が拒絶反応の予防や治療法の開発に有用である可能性を示唆した。
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