研究概要 |
粥腫性硬化巣(プラーク)について、各種マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の蛋白およびmRNAレベルでの発現と局在、in situでの分解活性とその分解活性の中心部位を解析し、次の成果を得た。 1. プラークの各領域(線維性被膜、線維性被膜の肩領域、脂質コア)で平滑筋細胞、マクロファージともMMP-1,-2,-3,-9およびMMPsの内因性インヒビターであるTIMP-1,-2を産生していることが免疫組織化学、in situhybridization,in situ RT-PCRで証明された。潜在型MMP-2の活性化因子であるMTl-MMP mRNAもMMP-2 mRNAとほぼ同様の局在を示した。また、強いエラスチン分解活性を有するMMP-7およびMMP-12の蛋白、mRNAともプラークに発現しており、プラーク内のエラスチン分解にこれらのMMPsが重要な役割を果たしている可能性が示された。 2. in situザイモグラフィーおよび新しく導入したFilm in situザイモグラフィー(FIZ法)によってブラーク、特に肩領域で実際にMMP-2が活性化されゼラチンが分解されていることが証明された。 3. 放射性同位元素で標識したコラーゲン、ゼラチンおよびエラスチンに対する組織培養上清の消化活性を測定した結果、コラーゲン分解活性は脂質コアを除いた線維性被膜全体に高い活性(1.5U/g重量以上)がみられた。ゼラチン分解活性も線維性被膜および肩領域に高い分解活性(3.0U/g重量以上)がみられた。^3H-エラスチンを基質としたエラスチン分解活性は線維性被膜と脂質コアに高い分解活性(1.5U/g重量以上)がみられた。 以上、本研究によってプラーク局所における各種MMPsの発現・局在とMMPs由来の蛋白分解活性が明らかになった。
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