研究概要 |
Heterogeneousなリンパ腫のグループであるびまん性大細胞型リンパ腫を病理組織学的的検討,各種抗体を用いた免疫学的,さらに分子生物学的手法を用いた遺伝子学的検討を加えて総合的に判断し,細分類のための基礎的データを出す.また予後を含めた臨床的特徴を検討し,予後因子としての有用性を明らかにすることを目的に研究を進めている.現在までに得られた結果の概要を示す. (1) びまん性大細胞リンパ腫の亜型であるIntravascular lymphomaについて検討を行い,その臨床病理学的特徴を明らかにし,さらにこれらの腫瘍細胞がCD5ならびに接着分子CD11a,CD54の発現していることを初めて報告した.(Leukemia and Lymphoma,in press)また低アルブミン血症が診断困難なこのリンパ腫の病態解明,診断への手がかりになることを指摘し,報告した.(Leukemia and Lymphoma,1998).このリンパ腫の細胞起源をdirectsequence法をもちいた免疫グロブリン遺伝子の解析によりpost-germinal center細胞由来であることを明らかにし,その結果を昨年の臨床血液学会に発表し,現在Br.J.Haematol.に投稿中である. (2) びまん性大細胞リンパ腫158例を臨床病理学的,ならびにp53,p21/WAF1,bcl-2,cyclin-D1,bcl-6,mdr,CD5,CD30,c-mycなど各種抗体を使用した免疫染色での検討を行った.p53発現の多いリンパ腫とbcl-6低発現のリンパ腫は無病期間が短く,またcyclin-D1+CD5+,EMA+CD30-,bcl-2高発現のリンパ腫は生存率が低いことを明らかにした.さらにこれらの因子よりも病期など臨床的な因子が予後因子として重要であることを明らかにし,昨年の臨床血液学会に発表し,現在投稿中である.またサザン法,PCR法による分子生物学的検討を加えその結果を本年4月の血液学会に報告する.
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