研究概要 |
Heterogeneousなリンパ腫のグループであるびまん性大細胞型リンパ腫を病理組織学的的検討,各種抗体を用いた免疫学的,さらに分子生物学的手法を用いた遺伝子学的検討を加えて総合的に判断し,細分類のための基礎的データを出す.また予後を含めた臨床的特徴を検討し,予後因子としての有用性を明らかにすることを目的に研究を進めている.現在までに得られた結果の概要を示す. (1)びまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBL)の亜型であるIntravascularlymphomaについて検討を行い,その臨床病理学的特徴を明らかにし,さらにこれらの腫瘍細胞がCD5ならびに接着分子CD11a,CD54の発現していることを初めて報告した.(Leukemia&Lymphoma1999)このリンパ腫の多くは細胞起源をdirect sequence法をもちいた免疫グロブリン遺伝子の解析によりpost-germinal center細胞由来であることを明らかにし,またbcl-2遺伝子をPCR法で検討し,follicular centercellやmantle cell由来でないことを証明し,その結果を現在英文誌に投稿中である. (2)DLBL158例を臨床病理学的,ならびにp53,p21/WAF1,bcl-2,cyclin-D1,bcl-6,mdr,CD5,CD30,c-mycなど各種抗体を使用した免疫染色での検討を行った.p53発現の多いリンパ腫とbcl-6低発現のリンパ腫は生存期間,無病期間が短いことを明らかにした.さらにこれらの因子よりも病期など臨床的な因子が予後因子として重要であることを明らかにし報告した(Pathol.International1999).また現在bcl-10についても検討しており,サザン法,PCR法による分子生物学的検討を加え,英文誌に投稿予定である. (3)鼻腔リンパ腫33例を検討しそのうち5例がDLBLであり,そのうち2例にEBVの感染を認めた.このEBVのLMP遺伝子はdeletionを起こしておりそれは多くの鼻腔NK/T細胞リンパ腫と同じであった.(Leukemia&Lymphoma,1999)またEBVによる血球貧食症候群後にEBV関連リンパ腫(DLBL)を生じた症例で,EBV感染の主体がT細胞からB細胞に変化し,この発生にサイトカインの関与を認めた(Leukemia&Lymphoma,in press)
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