研究概要 |
悪性リンパ腫の発症に関わる未知の遺伝子を含むと考えられる1p36領域内に21個のコスミド、5個のP1ファージマーカーをマルチカラーFISH法を用いて整列化し細胞遺伝学レベルの物理的地図を構築した。その配列順序は1pter-D1S1002(cYS142)-D1S1053(cYS1467)-D1Z2-D1S1085(cYS1138)-D1S1013(cYS1299)-D1S1032(cYS1384)-D1S1010(cYS1296)/D1S1047(cYS1429)-D1S96-D1S989(cYS1287)/D1S1131(cYS1234)-NPPA-D1S975(cYS1173)-D1S968(cYS1121)-D1S1062(cYS73)-D1S1092(cYS1148)-D1S1130(cYS1232-D1S1028(cYS1363)-D1S967(cYS1120)-PAX7-D1S1111(cYS1180)-D1S1073(cYS191)-D1S1037(cYS1406)-D1S1112(cYS1181)-D1S1040(cYS144)-D1S112-cen.であった(Satoh et al.,paper in preparation)。このマップをもとに、SCIDマウス内腫瘍細胞株HMS株の1p36転座切断点を同定した。その切断点はD1S96とD1S989(cYS1287)の間に存在し、ALL由来のB細胞株BALL-1とcytogenetic breakpointが一致した(Satoh et al.,paper in preparation)。そこでHMS株の1p36転座切断点を含むゲノム断片を得るために5'側flanking markerであるD1S96P1ファージマーカーをアンカーとするYACクローンを選別する一方で、3'側flanking markerであるD1S989(cYS1287)コスミドマーカー内のユニーク配列をもとにYAC libraryのスクリーニングを行うために、0.3kb BamHI断片のシーケンスを行った。ホモロジー検索の結果、このsequenceの5'側30bpはEST AA650088の3'側30bpと100%塩基配列が一致した。EST配列内にprimerをセットしmicrocell hybridのゲノムDNAを鋳型にしてPCRを施行した結果、このESTが含まれるcDNAは第1染色体上にマップされた。現在は隣接するfragmentの同定を行うとともに、1p36内(約30Mbと推定される)の9.2MbをカバーするCEPHメガYAC8クローンを入手し、これらのクローンが転座点あるいはESTを含むかどうか検討している。
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