我々は、これまでBCL-6蛋白質(BCL-6)が92-98kDaの核蛋白質であること、リンパ組織においてgerminal center(GC)B cellに特異的に強く発現することを他に先駆けて見出し、報告してきた。さらに我々はBCL-6がリン酸化蛋白質であることを最初に報告した。我々はBCL-6蛋白質のリン酸化にはN末のBTB/POZ domainとC末のzinc finger domainの中間の領域のセリンとプロリンに富む領域が重要でこの領域がMAP kinase(ERK1/2)によりリン酸化されることを発見した。すなわち、1)BCL-6はin vitroでMAPKによりリン酸化される、2)リン酸化ペプチドマップの結果、in vitroでMAPKによりリン酸化されたBCL-6と、B cell line Ramos細胞から免疫沈降されたendogenousなBCL-6ではマップされたspotのパターンが一致すること、3)Ramos細胞をTPAで刺激してMAPKを活性化させるとBCL-6のリン酸化が亢進すること、そしてこの反応はMAPKK inhibitor PD98059で抑制されること、4)さらにRamos細胞においてBCL-6とMAPKが共沈することを見出した。これらのことから、MAPKはBCL-6 kinaseとして機能する可能性が高いと考えた。一方、我々は組み換えアデノウィルスを用いたBCL-6過剰発現細胞の解析から、BCL-6はBCL-2の発現低下をもたらし、アポトーシスを誘導する機能を持つことを発見した。今後はこの生物学的機能のリン酸化による調節機構を解析したい。
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