研究課題/領域番号 |
10670199
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森 秀樹 岐阜大学, 医学部, 教授 (70021433)
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研究分担者 |
原 明 岐阜大学, 医学部, 助手 (10242728)
吉見 直己 岐阜大学, 医学部, 助教授 (30166996)
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キーワード | アポトーシス / AOM / ACF / PhIP / P450 / TPCK / 大腸癌 |
研究概要 |
アポトーシスは、大腸発癌過程、特にその初期段階において、damageを受けたDNAを生理的機序として大腸陰窩増殖過程から排除する意味を有していると考えられている。先に我々はラットにおけるモデルにおいて、大腸発癌物質であるazoxymethane(AOM)の投与後早期に発癌の標的部位にアポトーシスが誘導され、それに続いて細胞増殖が引き起こされることを明らかにした。一方、大腸癌の前癌病変として知られているaberrant crypt foci(ACF)が発癌物質の投与後3週程で出現することが知られている。最近、我々は非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)であるpiroxicam等のACFに対するregressive効果を確認しているが、このregressive効果にアポトーシスの関与が示唆されている。本研究においては、まず、調理された食品中に含まれる2-Amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine(PhlP)において、AOM同様、PhIPによりdamageを受けたDNAが生理的機序として大腸陰窩増殖過程から排除されていると考えられる事を明かとし、この際、さらにbeta-naphthoflavone(beta-NF)が、肝臓の酵素P4501A2依存性のメカニズムを変化させて、PhIPにより誘導されるアポトーシスを修飾することを明かとした。一方、アポトーシスの促進因子としてある種のcytokine、あるいはタンパク合成酵素阻害剤などが知られている一方、アポトーシス抑制因子として最近、様々な分野でcaspase inhibitorの研究がなされてきているが、そのなかで我々は、serine protease inhibitorであるN-tosyl-L-phenylalanylchormethyl ketone(TPCK)を使用してACFに対する修飾効果を検討している。本研究では次の課題として、アポトーシス誘導を調節する物質を使用して、ACFの出現する影響、すなわち大腸前癌病変に対する影響を検討し、その意義を考察する。
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