動脈硬化病巣の発生・進展にLDLの蓄積が重要なことから、血中より血管内膜へのLDL移送に直接関与する内皮細胞のコレステロール代謝や移送がどのような機構によって行われるかを明らかにした。特にバリアント内皮細胞のLDLレセプター発現と、LDLの取り込みやendocytosisやtranscytosisによる移送の際に重要な役割を果たすcaveolin発現を、免疫細胞学的におよび超微形態学的に明らかにした。 バリアント内皮細胞は定型的内皮細胞の約4.6倍の表面積を有し、LDLレセプターを強く発現していた。caveolinは細胞表面に微細顆粒状に発現され、バリアント内皮細胞はcaveolinの発現が大であるが、単位面積当たりの発現程度は両細胞間に差が見られなかった。しかしバリアント内皮細胞はより大きな滴状のcaveolin発現が見られ、その部位に一致してLDLが存在することが免疫二重染色で確認された。Gold粒子でラベルしたLDL-Goldやcaveolin免疫電顕により経時的に追跡すると、バリアント内皮細胞ではcaveoleによるLDLのendocytosisによる細胞内コレステロール代謝やtranscytosisによる細胞下へのコレステロール移送が活発化し、動脈硬化の発生・進展にバリアント内皮細胞は重要な役割を演じていることが考えられた。
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