研究課題/領域番号 |
10670216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 助手 (70216878)
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研究分担者 |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部, 教授 (00055865)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | daicylglycerol / protein kinase C / lipid peroxidation / signal transduction / glutathione peroxidase |
研究概要 |
Cキナーゼ(PKC)は、イノシトールリン脂質情報伝達系のkey enzymeであり、種々のlipid mediatorの中でもジアシルグリセロール(DAG)によって活性化されることにより様々な細胞応答に重要な役割を果たしている。我々は、DAGが過酸化されることにより、nativeのDAGに比較して約3倍のPKC活性化作用をもつ物質に変質することを報告した。更に、種々のisoformの存在が知られているPKC分子種の中でもPKCαおよびδ分子種が、過酸化DAGにより特異的に強く活性化されることが明かとなった。次にPKC分子種の発現パターンの異なるPC12細胞およびラット胎児大脳初代培養神経細胞の2種の培養神経細胞を用いて過酸化DAGの作用を解析した。その結果、PKCδを強く発現するPC12細胞では、神経突起のビーズ状の変性を伴った神経細胞傷害が引き起こされるのに対し、PKCδを発現していない初代培養神経細胞では過酸化DAGに非感受性の初代培養神経細胞にアデノウイルスベクターを用いてPKCδ分子を高発現させ過酸化DAGを作用させたところ、PC12細胞と同様の強い神経細胞傷害が引き起こされた。このことから過酸化DAGには、PKCδ分子種が特に重要な役割を演じていることが推察された。更に、このPKCδ高発現細胞では、過酸化DAGによりMAPキナーゼカスケードが活性化され、最終的にはtau蛋白のリン酸化が亢進し微小管の脱重合を生じた。以下の結果から、酸化ストレスに伴って産生されると推測される過酸化DAGのPKC過剰活性化作用が判明し、更に、APKCδ分子種の特異的な活性化が細胞内情報伝達異常→細胞変性・細胞死の引き金となることが示唆された。
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