研究概要 |
3週雄Balb/cマウスの尿細管上皮(TEC)を無血清培地にて初代培養し、下記のサイトカインを投与した。48時間後、単離細胞とし、R-PhycoerythrinラベルMHCclassI(H-2D^d),MHCclassII(I-A^d/I-E^d),ICAM-1,B7-1(CD80),B7-2(CD86)抗体にて染色後、FACScanにて解析した。投与したサイトカインとしては、interferon(INF)-γ(100U-ml)、そして同種のマウス腹腔より採取したマクロファージ(mφ)を10ng/mlのLPSにより刺激し、4時間、24時間、72時間の上清を回収して、mφ由来のサイトカインとした。また、リコンビナントのIL-1β(250pg/ml)とTNFα(10ng/ml)を同様に投与した。INF-γにより刺激されたTECは、MHCclassI,MHCclassII,ICAM-1の発現を増したが、B7-1,B7-2は発現しなかった。mφ由来のサイトカインとして、LPS刺激後4時間、24時間、72時間にて、それぞれTNFαは5338pg/ml,2035pg/ml,567pg/ml、IL-1βは29pg/ml,83pg/ml80pg/ml検出された。それらのサイトカインによりTECに形質転換はなかった。リコンビナントIL-1βとTNFαによっても同様の結果であった。以上、TECのMHCclassII,ICAM-1の発現には、mφ由来のサイトカインではなく、活性化Tリンパ球由来のINF-γが関与した。さらに、INF-γによりMHCclassIIを発現した尿細管上皮細胞がスーパー抗原とともにT細胞を活性化するかどうかを調べた。尿細管上皮細胞の培養シャーレに、(1)培地のみ(2)黄色ブドウ球菌の外毒素であるTSST-1(3)T細胞のみ(4)TSST-1+T細胞、をそれぞれ添加した。(4)の条件においてIFN-γの処理の有無に関わらず、T細胞の増殖反応がみられた。また尿細管上皮細胞を予めIFN-γで処理した場合、[^3H]-チミジンの取りこみは、無処理時の約2倍の値を示した。以上、尿細管上皮に発現したMHCclassII分子はスーパー抗原と共にTリンパ球を活性化した。
|