研究概要 |
1)トキソプラズマ原虫感染防御分子と知られているIFNγ遺伝子、TNFα遺伝子、およびNKT細胞KOマウスを用いて先天性トキソプラズマ症の感染動物実験系を検討した結果、IFN-γKOマウスを用いることにより100%トキソプラズマ原虫に感染した新生仔を得る実験系の作成に成功した。なお、TNFα遺伝子およびNKT細胞はマウスのトキソプラズマ原虫感染に対する感受性・抵抗性には関与していなかった。 2)母体マウスのトキソプラズマ原虫感染後の各臓器の感染感受性のQC-PCR解析の結果、胎盤は脳、肺、脾臓と同様に感受性の臓器であることが明らかになった。 3)IFN-γは妊娠におけるトキソプラズマ原虫感染において抗トキソプラズマ原虫作用および流産誘導因子としてbi-functional機能をもつことが明らかになった。 4)このIFN-γの両面の作用機序として、IFN-γはマクロファージのNO産生の増幅作用を持ち、NOは組織破壊性を示し起炎因子と共に抗トキソプラズマ原虫作用を示す。 5)IFN-γは胎児の脳および肝臓へのトキソプラズマ原虫感染に防御作用を示す。 6)IFN-γは流血中のトキソプラズマ原虫Tachyzoiteが胎盤でBradyzoiteにステージ分化させる機能を持つ。 7)トキソプラズマ原虫毒性決定遺伝子としてTgHSP70のクローニングに成功した。 8)Differential Display法による感受性統御遺伝子、および関連遺伝子として、IFN-γ、TNFα、IL-4, IL-5, STAT-1,-2, IRF-1の他に、現在までに未知の12以上の遺伝子が関与していることが分り現在解析中である。
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