感染により顕著な好酸球増多やIgE産生がみとめられる寄生蠕虫について、Th2タイプのサイトカイン、特にIL-5やIL-4の産生を誘導する寄生蠕虫抗原を特定することを研究目的として、λgt11(Pharmacia)もしくはλZAP(Stratagene)ベクターを用いて寄生虫のcDNAライブラリを作成し、現在、感染マウスの(抗)血清をもちいてイムノスクリーニングしているところである。現在、マンソン裂頭条虫と旋毛虫のcDNAライブラリについて検索を行っている途中で犬回虫についても同様の実験を行う予定である。 今後はイムノスクリーニングにより陽性クローンを採取できた場合、そのタンパク抗原の構造を解析するために塩基配列をシーケンサーを用いて調べる。そしてそのcDNAを用いてMaltose Binding Protein(MBP)との組み換え融合タンパクを大腸菌を用いて作成し、MBPアフィニティカラムを使って分離・精製する。そしてマウスにその融合タンパクを免疫することによりTh2サイトカインを誘導できるかどうかを検討する。誘導できる抗原である場合にはさらにその誘導を促した抗原部位を決定するために欠損変異タンパクあるいは数種類のペプチドなどを作成し、それらを用いてTh2サイトカインの誘導が行われるかどうかを同様に検討する予定である。 最終的には寄生蠕虫ごとで採取された抗原に共通の構造があるかどうか、あるいはスギ花粉などのアレルゲンとの相同性があるかどうかを検討する。
|