マラリア感染において、好中球は活性酸素の放出などにより宿主の感染防御に重要な役割を担った免疫担当細胞と考えられるが、好中球の動態に関しては研究が遅れている。今回の研究ではマラリア感染の急性期に末梢血中の赤血球に増加してくるIFN-IPについて、その感染防御に果たす役割について、in vitroの系を中心に調べた。IFN-IPは大腸菌で作成したリコンビナント蛋白を用いた。 1. 新鮮血を用いたPlasmodium falciparumのin vitroの培養系にIFN-IPを添加すると濃度依存性に原虫の増殖抑制が見られた。 2. 保存血を用いたPlasmodium falciparumのin vitroの培養系にIFN-IPを添加した場合には原虫の増殖抑制が見らなかった。 3. 新鮮末梢血から分離した好中球を保存血に添加すると、IFN-IPの原虫増殖抑制効果が好中球の濃度に依存して見られた。 4. IFN-IPと同じファミリーに属するユビキチンをIFN-IPと同じ濃度に添加しても原虫増殖抑制効果は全く見られなかった。 5. リコンビナントIFN-IPは濃度依存的にin vitroで好中球遊走活性を示した。 6. P.yoelii感染マウスにおいて、経時的に脾臓、肝臓におけるIFN-IPの産生パターンをウエスタンブロットで調べたところ、肝臓においては感染経過の進展と共に上昇してくるが、脾臓においては正常マウスでもかなり発現されていることがわかった。
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