昨年度までの研究によりマラリア感染により赤血球上に増加するIFN-IPが、好中球遊走活性を持つサイトカインであること、in vitroのマラリア培養系において好中球の存在下においてマラリア原虫の増殖抑制作用があることが明らかになった。今年度はIFN-IP分子のどの部分が活性を担っているのかを調べるために、truncate proteinを作成し、好中球遊走活性、活性酸素を指標とした好中球活性化についての検討を行った。全長160アミノ酸残基のIFN-IP分子の1-160、1-77、78-160、87-160、1-142の各リコンビナント蛋白について、好中球遊走活性を調べたところ、1-160、78-160、1-142には活性が見られたが、1-77、87-160にはほとんど活性が認められず、77-87付近のアミノ酸配列が好中球遊走活性に必要であることが示唆された。また、77-89に相当するペプチドを化学的に合成したところ、このペプチドにも好中球遊走活性が認められ、IFN-IP分子のこの部分が好中球遊走活性のエピトープであると考えられた。IFN-IPはユビキチンファミリーであるので、この部分に相当するユビキチンの配列のペプチドを同様に合成し、遊走活性を調べたが、このペプチドには遊走活性が見られなかった。またユビキチン分子全体でも遊走活性は見られなかった。一方、好中球からの活性酸素の産生は1-160、1-77、78-160、1-142で認められ、好中球刺激活性は遊走活性とは必ずしも一致しないことがわかった。
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