研究課題/領域番号 |
10670232
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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研究分担者 |
柳 哲雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10174541)
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
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キーワード | トリパノソーマ / トランスシアリダーゼ / 遺伝子導入 / 局在 / 分泌 / シャーガス病 / 遺伝子ファミリー / IL-6 |
研究概要 |
シャーガス病の病原原虫Trypanosoma cruziの感染型trypomastigoteの表面には、この原虫特有のシアル酸転移酵素トランスシアリダーゼ(TS)が存在する。この酵素は、糖複合体にα2,3結合したシアル酸を切断して原虫表面の末端ガラクトース受容体へとシアル酸を転移するユニークな酵素であり、シアル酸を受け取った分子は宿主細胞との接着、侵入に重要であることが示されてきた。一方、昆虫内増殖型epimastigoteでも弱いTS活性が検出される。この二つのTSの発現調節と局在の違いを分子レベルで明らかにするために、epimastigoteで発現しているTS遺伝子をクローニングして、酵素活性を担うコアの領域はtrypomastigoteのTSと75%以上の類似性があるが、局在や調節に関与していると思われるN末端側やC末端領域には相同性がみられないこと、このTSも幾つかの遺伝子からなるファミリーとして存在していることを明らかにした。また、今まで注目されていなかったC末端側の領域も酵素活性の有無に大切であることを示す結果を得た。 また局在に影響を与えていると考えられるN末端側シグナル配列とC末端側疎水配列を比較して、酵素の分泌との関連を調べた。分泌にはシグナル配列が必須であり、GPIアンカーで置換されるC末端疎水領域は必ずしも必要ではないことを明らかにした。そのような観点からepimastigoteで発現しているTS遺伝子構造をみると分泌されるに必要な条件を満たしている。実際にはこの酵素は分泌されておらず、その分子レベルでの理解のために幾つかの組換え体を作成して調べている。 我々が作成したTSの発現系を用いて、共同研究者のグループがC末端リピートの役割を調ベ、宿主の血管内皮細胞や末梢血モノサイトからのIL-6産生に重要であることを示した。
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