研究概要 |
本研究は,線虫抗原中の種々の分子によるT細胞の増殖,活性化およびアポトーシス誘導を解析し,ES抗原中のどの分子がいかなるT細胞集団に作用し,Th1タイプおよびTh2タイプ細胞への分化やアポトーシスを誘導するのかを明らかとすることを目的として実施した. 現在までのところ,線虫抗原および部分精製したフラクションにラットリンパ球のin vitroでのIFN-γ産生を濃度依存的に抑制する作用が認められたことから,さらに非感染ラットの腸間膜リンパ節から分離した,CD4および,CD8T細胞を表面抗原(CD3,CD28など)に対するモノクローナル抗体やマイトージェンでin vitro刺激しIFN-γ産生におよぼす線虫抗原の影響を調べた.これまでに,CD4および,CD8T細胞では線虫抗原に対する反応性が異なること,線虫抗原が刺激により誘導されるリンパ球の幼若化にも影響を与えている可能性を示す結果が得られている.これら作用は,線虫抗原との6時間の前培養によってその後のマイトージェン刺激によるIFN-γ産生を抑制したことからも確認された. また,感染マウスのリンパ節,脾臓,肝臓から得たT細胞のCD4,CD8表面抗原および細胞内でのIL-4産生をFACSで解析したところ,感染1週目からIL-4陽性細胞が増加し,T細胞の構成比にも変化が生じていることを見いだした. 来年度はまず上記の結果について追加確認の実験を行ない,さらにサイトカイン産生に加えmRNA発現についても解析を進める.アポトーシス誘導の有無についてはすでにAnnexin Vと7AADを用いることにより表面抗原との同時染色を可能にするシステムを確立したのでに特定の細胞集団における検索が可能になった.
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