研究概要 |
Listeria monocytogenesを細胞内寄生菌のモデルとし,この菌に対する感染防御に重要な細胞性免疫反応,すなわち細胞傷害性T細胞(CTL)と1型ヘルパーT(Th1)細胞を任意に感作できるDNAワクチンの開発を行った。これにより,感染防御に必要な細胞性免疫反応のみを誘導できる指向性DNAワクチンを作製できる。このDNAワクチンの接種には遺伝子銃を用いた。これにより,少量のDNAで再現性良く,CTLおよびTh1細胞が誘導できた。 [CTL誘導型DNAワクチン]1)MHCクラスI拘束性の3種のCTLエピトープ,すなわちLLO 91-99,60 217-225,60 449-457,を用いてCTL誘導型DNAワクチンを作製した。これらのCTL誘導能には差があり,LLO 91-99>60 217-225>60 449-457の順であった。 2)これらはTh細胞非依存性にCTLを誘導できることが分かった。3)これらはリステリア感染に対する防御能をマウスに賦与した。その防御能はCTL活性と比例した。4)誘導されたCTLはIFNーγを産生したが,これは感染防御に関与しなかった。 [Th誘導型DNAワクチン]1)MHCクラスII拘束性のThエピト-プ,LLO 215-226,p60 301-312,を用いてTh誘導型DNAワクチンを作製した。しかし,Th細胞を誘導させるためには,エピトープをIi鎖のCLIP領域と置換させ,エピトープを強制的にクラスII分子に結合させることが必要であった。2)これらのワクチンは抗原特異的な増殖反応を示した。3)これらのワクチンの感染防御能は,CTL誘導型ワクチンに比して弱かった。4)有効な感染防御免疫を賦与できるワクチンを作製するため,IL-12,CpGモチーフを組み合わせたワクチン投与法を検討中である。
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