研究概要 |
申請者の平成11年度までの検討では,(1)抗酸菌感染症では,サプレッサーMΦがTNF-αやIFN-γなどの働きを介して誘導される,(2)サプレッサーMΦはRNIやFFAなどをエフェクターとしているが,その作用発現には標的細胞への結合が必要であり,その際にはMΦ側のB_<7-1>分子が重要な役割を演じている,(3)サプレッサーMΦのB_<7-1>分子に対する標的T細胞の側のレセプターはCD28やCTLA-4以外の分子である,(4)サプレッサーMΦではB_<7-1>分子の発現増強がみられ、標的T細胞との結合は抗B_<7-1>抗体処理でブロックされることなどが明らかになっている.平成11年度の検討では,(1)サプレッサーMΦの活性発現にはMΦと標的T細胞とが会合する以前の時点で,MΦが予め何らかのシグナルで活性化されていることが必要であり、この際T細胞からの細胞間接触を介する活性化シグナルが重要である,(2)活性化したサプレッサーMΦからの細胞間接触を介しての抑制性シグナルを受けた標的T細胞ではConA刺激に対する増殖性応答が阻害されるが,PMAとCa^<2+>ionophoreによる活性化シグナルに対する増殖性応答は影響されないことから,サプレッサーMΦの抑制性シグナルはT細胞のConA receptorからPKCに至るシグナル伝達系の何れかのステップに作用を及ぼしていると考えられる,(3)サプレッサーMΦを固定して,これと標的T細胞との細胞間接触を行わせてもT細胞のConA応答の抑制はみられないので,B_<7-1>分子を介する抑制性シグナルの伝達のみではサプレッサー活性の発現には不十分であり,RNIやFFAなどのmediatorとの協同作用が必要である,(4)サプレッサーMΦは標的T細胞のConA刺激に応答しての蛋白質レベルでのIL-2,IL-2 receptorの発現,特に後者を強く抑制する,ことなどが明らかになった.さらに平成11年度の検討によりマウスB_<7-1>蛋白の遺伝子を大腸菌で発現させ,菌のcell lysateからほぼ純粋なrecombinant B_<7-1>を調製することが出来たので,この標品を用いてサプレッサーMΦと細胞間相互作用を行うT細胞側のB_<7-1> receptorの性状と発現動態に関する諸検討を進めつつある.
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